日々の覚え書き~観劇、本、その他彩りのあるもの~

アラサー女の生きる糧。生きてるって楽しい!と思えた物事の個人的な記録。

8月18日 『水平線』

それは衝撃だった。

 

通勤のバスの中、朝一番でTwitterをチェックするのが日課な私は、思わず手を止め、つぶやいた(リアルなほう)。

 

「うお、まじか!」

 

あのツイートの素っ気ないくらいのシンプルさ。

 

「back number     新曲    『水平線』」。

 

 

 

事前告知なし、YouTubeフル公開という、なんという商売っ気のなさシンプルさ。

 

待ちに待った、超久しぶりのリリース。

 

改めて振り返ると、彼らの最後のリリースは2019.3月のアルバム、MAGIC。

1年半空いているわけです。

 

さらに言うと、シングルの、しかもタイアップなしの新曲というのは、2014年の「繋いだ手から」以来。つまり約6年ぶり!

 

 

なぜタイアップなしの新曲、とわざわざ言ったかというと。タイアップがダメとか、そういう話ではもちろんない。

ただ、タイアップの曲というのはたいてい、ドラマなり映画の脚本なんかを読んで、テーマを彼らなりに反映させた、彼らの曲。

曲の主人公は、その物語の主人公であり、基本は「あの映画・ドラマの曲」というイメージになってしまうわけだ(あくまで個人の見解です)。

  

対して、タイアップの無い曲は、「なんで今、この曲を作ったのか!?」という意味を持っているような気がしているのだ。

 

だから、私は、2014年という時から状況が飛躍的に変化した彼らの、「いま聞かせたい歌」が何なのか、どんなテーマなのか、本当にずっとずっと、気になっていたのだ。

 

 

そこで出てきたのが、この曲。

 

もう、完璧でしたよ、完璧。

 

私はこういう彼らが、大好きなんだよ。

 

 

back number。

彼らの良さを語るとき、よく聞かれるのが「切ない歌詞と美しいメロディー」。

「キュンとする」「片思いの気持ちを代弁してくれる」、等々。

 

失恋ソングの代名詞、というイメージ。

 

確かにそう、そうなんだよ。でも、彼らの歌は、恋愛だけじゃない。

 

全体的に、自己肯定感の低い主人公が登場する彼らの歌。

それは「今の自分」を、変わりたいけど変われなくてイライラしたり、落ち込んだり、羨んだりしている自分を、肯定してくれるのだ。 

 

 

私は、彼らの「頑張れと言わない応援歌」が大好きだ。

昭和~平成初期って、私の勝手なイメージだと「頑張ろう」「一歩踏み出してみよう」「努力は報われる!」みたいな、応援ソングが多いように思える。

もちろん、テンション上げたいときに、そういう曲は聞くし、大好きだ。

 

でも、back numberの応援歌はそういうのとは違う。

彼らは、本当に、「それでいいんだよ」と、言っているだけなのだ。

その、肯定してくれる声のなんと温かいことか。

 

 

私は、かれこれファン歴が長いのだが、新卒で社会人になりたて~4年目くらいまでが、一番彼らの信者だった。というか、彼らの音楽なしで日々を乗り越えることはできなかった。

 

誰もが通る、「新人」という道。

尊敬できる先輩がいて、やりがいのある仕事があって。

そんな恵まれた環境にある人もいるだろうし、うまくいく、達成感を感じる、そんなポジティブな日ももちろんある。

 

でも、私は自分の不甲斐なさに愕然としたり、先輩や同僚がまぶしく見えたり、自分ではどうしようもない理不尽なことに苛立ったりしていたことのほうが多かったように思う。

 

そういうときに「頑張れソング」を聴いていると、

「なんであの人みたいにできないんだろう。」「ここまで到達できていないのは、頑張りが足りないからなのかな」「頑張らなきゃ・・・・頑張らなきゃ・・・」なんて、マッチョな考えに苛まれて本当に鬱々としてきちゃうんです。

 

 

対して、彼らは「必死に頑張ってるんだよね。」「しょうがないことだってあるよ。」「君はちゃんと頑張ってる」っていうみたいに、ただ、そばにいて、「ここにいるよ」って言ってくれる。

 

以前、何かの小説で読んだ「応援というのは背中を押すことじゃなくて、『お前の味方はここにいるぞ』と叫ぶこと」という(自分的要約)ことが、しっくりくるような。

 

背中を押してくれなくていいの。

みんな、たいてい、頑張ってるんだから。

 

この『水平線』も、そう。

誰かほかの人の何かと。

もっと重大な出来事と。

比べると「大したことない」と言われてしまう事だって、当事者からしたら大したことなんだよ。

だから、これは大したことなんだ、と、思ってていいんだよ。

大したことないって、自分で暗示をかけなくていいんだよ。

悲しい、悔しいって、言っていいんだよ。

無理に前に進もうとしなくていいんだよ。

 

 

そういう目線で、曲を書いてくれるのが彼らなんだ。

 

だから、彼らの優しさが、大好きなんだ。