王家の紋章@帝劇 2021.8
王家の紋章。今回が3回目の再演です。
私は、今回が初見で、DVDのみ視聴してから臨みました(聖子キャロル・マモミル版)。
正直、DVDを観たはじめの感想では
「・・・・?」
という感じで、これ帝劇でやる演目なのかしら??と思ってしまいました。
ひたすらキャロルがモテ、溺愛され。
メンフィスの俺様ツンデレ。
少女漫画原作なのは分かるんだけど・・・どうなのよ、と。テーマはどこいった、共感はどこだ。
というわけで今回、作品自体に疑心暗鬼で挑んだ3回(うち 浦2、海1、晴2、神1、朝2、聖1、元2、大1 のキャスト)。それぞれ、感想を述べていきます。
※ちなみに当方浦井ファンです。つまりそういうことです(みなまで言わない)
まず作品について。
DVD、なぜDVDにした・・・?2017年ってまだブルーレイなかったっけ・・・?
この作品は!衣装の魅力が!!伝わらないと楽しさ半減です!!!
サラサラ、ツヤツヤ、ふんわり、重厚感、キラキラ、、、
マントだったりその他のお衣装、アクセサリー、そういったものの豪華さがとにかく魅力だと思います。あれだけで異世界感満点、「うぁー…!」とテンション上がります。
そしてストーリーですが。1幕は許す(アイシスの兄弟愛問題はあとで)。
2幕のイズミル王子の「そなたを愛おしいとさえ思うておるのに(的な)」の謎。ここです。これはDVDでも思っていた謎。
恋に落ちる要素は何処???
どうやら、原作ではその辺ちゃんと描かれているらしいのですが、かなり時間の都合で端折ってるポイントのようなんですね。
今回、大貫イズミルを観てなんとなく腑に落ちました。
メンフィス→キャロルの「愛」の表現の後で、イズミル→キャロルの「愛」の表現を並列に並べてしまっていたけど、あれは別物なんだなと。
「不思議な娘、ナイルの娘」、利害的なものでの興味対象から、感情の起伏の激しいキャロルに煽られてつい意地になっているような。思い通りにならないものに対する独占欲に近いほうなのかな、と。なんとなく。
ここは元基ミルと大貫イズミルの違いだなーと思いました。
元基ミルはより湿度と粘度高めで、これは半分ストーカー的な(笑)
DVDのマモミルも元基ミルと同じ感じだから、もともとの流れはこっちだったんだろうけど、大貫さんくらいのほうが原作読んでない人間としては受け入れられたな。
「こうしておけば女は喜ぶのであろう」的な、傲慢なイズミルの「愛」からのあのキスシーンなんではなかろうかー
さて。この作品は2.5次元というべきなのか問題はありますが、今回比較的2.5次元に寄せてつくっているのが「浦井×神田×新妻」のキャストなんだと思います。
2.5次元の魅力、というのはあまり観た経験がないのでわかりませんが、おそらく「キャラの強さ」ではないかと感じました。(そういう意味では×平方もそう?)
リアルを追求するよりも、「かっこいい」「かわいい」「強い」「妖艶な」「美しい」等々、はっきりと形容できるようなキャラクターの輪郭を表現する台詞回しと所作。
これは、確かに。。。観ててにやけちゃったり、ドキドキしちゃったりする。
対して、海宝×木下×大貫 は「リアル」「現代に通づる」という感じの作り方なのかなと。
(まぁ様はどっちだろう?)
とにかくその点では、神田×浦井の2人が、まー、濃い!
神田キャロルはさすがディズニープリンセス、という感じ。
声優経験者のかたは(メイビーハッピーエンディングの花澤香菜さんでも思いましたが)表情が見えにくくても、台詞と歌での表現が豊か。すごい。
そしてぷんすか怒る顔とか、抱えられてじたばた暴れるところとか、そういうところが漫画的でとてもかわいい(笑)
そして浦井メンフィスですが、観劇1回目と2回目でだいぶ印象変わりました。というか、ご本人が少しずつ変えているのでは??
1幕⇒とにかくアイシス、ミタムンをたらしこむチャラ男。「自分のことを好きに違いない」という自信から「こういうふうにされたら女って嬉しいんでしょ」というのを綺麗になぞっていきます。一歩間違えるとただの勘違いオトコですね(笑)2回目観劇時なんて、ミタムンへの「では、エジプトで生涯を過ごすか」みたいな誘い文句、なんと耳元でのお囁きに変わっているではないですか!!!1回目観たときは目を見てた気がするのに・・なんと・・・罪。
2幕⇒キャロルを愛するゆえに感情の起伏がさらに激しくなり、「哀」とか「弱さ」が垣間見えるようになるメンフィス。とくに2回目観劇時は、キャロルを失う怖さとか、自分の無力さみたいなものを歌に含ませていて、「オラオラ」ととにかく強く太く、張り上げる、という印象から一転、強弱でいうとmpとかpの表現が出現。おや。
今回、アイシスさまがとてもヒューチャーされている印象で、これはこれでDVDのもやっとがすっきりしました。
めぐさんはあくまで「下エジプトの女王」に重きを置いて、少なくとも表面上はメンフィス同様に政治的に、かつ家族として接していたような印象です。でもキャロルが表れて、少しずつ剝がれていくけど、体裁は保っていたような。
そんなめぐさんアイシスは、理知的で比較的感情抑え目だったのに対して、今回の2人のキャロルは「メンフィス大好き!!!」を全面に出していたので。目を見合わせた嬉しそうな顔、キャロルやミタムンに対する敵意むきだしの表情、選ばれなかったときの絶望(と、仲良しだったころの回顧、切ない・・・)と、はじめから業火のごとく恋愛感情を爆発していたので、全体的にわかりやすかったです。
まとめ。
今作は、現実を逃避するにはうってつけ。好きな、または思い入れできるキャラクターがいればなおさら、エジプトの世界の沼へ落ちるでしょう。
博多座公演も無事にとりおこなわれることを祈ります。