日々の覚え書き~観劇、本、その他彩りのあるもの~

アラサー女の生きる糧。生きてるって楽しい!と思えた物事の個人的な記録。

スリル・ミー 2021年4月

東京芸術劇場シアターウエス

池袋にある劇場。初めて行きました。小~中規模という感じでしょうか。いくつかの箱の集合体、という感じ。

 

キャパは300人に満たないくらいの規模。

私はちょうど前後も左右もおおむね真ん中くらいのお席でした。

 

初めてのスリルミー。

SNSなどで熱狂的なファンがいるのは知っていたのですが、どんな話なのか?

うっすらしか知らず、幸運にもチケットが当選したため、観てきました。

 

 

以下、ネタバレありです

 

私が観たのは初演ペア  新納×田代ペア。

 

話のあらすじは、1924年アメリカで実際に起こった少年誘拐殺人事件をもとに描かれている。

18歳と19歳の、優秀で裕福な少年たちが、「自分たちは超人である」という思想に駆られて「完全犯罪を犯す」。おそらく、その2人がゲイカップルであることも手伝って、センセーショナルな事件であったようだ。

 

 

照明が暗くなり、ピンスポットで田代さん演じる「私」の陳述から物語が始まる。

 「現在」の「私」に対して、「事件の真実は何だったのか」と問うシーンから始まり、当時の回想が始まる。

 

「彼」は、典型的な「選民思想」かつ「拗らせ系」の青年。ニーチェに陶酔し、「私」が「彼」を強く求めていることを知っていて、あえて距離をとったり、急に姿を消したりして反応を楽しんでいる。

 

再会のシーンが始まる。

田代さんは、マリーアントワネットでも、エリザベートでも、いつも熱烈な片思いをしている。(マリーアントワネットは両想いだが叶わぬ恋、ということで同じ括り)

それがまた、ワンコのような従順さが似合うのである。

 

久しぶりの再会、斜に構える「彼」に対して、しっぽを振って盛大に出迎える「私」。

「私」は、以降もだがずっと、「抱きしめてほしい」「触れてほしい」と、かなりストレートに「彼」に要望(欲望?)をぶつけている。

 

ここのキスシーン、やたらとエロい新納さん。さすが、ベテランだけあります・・。

一度軽くキスしたあと、「私」に対して口を「あ」って開けて見せるんです、「口開けろ」って・・・私はここで「ひやー!!!」って声出そうになりました(笑)

 

 

とにかく自分が超人であることを周囲に示したい「彼」は、火をつけたり、物を盗んだり、「スリル」を求め続けるわけです。

「私」にも共謀を求め、都度「私」の要求にも応じる。互いに互いを縛りあい、「共犯」として時を重ねていく。

 

「彼」が求める「スリル」は、要はジェットコースターみたいな、非日常で心臓が高鳴るようなスリル。

「私」が求める「スリル」は、俗語としてあるようなのですが、性的な意味での「スリル」。

 

そして初めての殺人、からまた物語が大きく展開していくわけです。。

 

「息もつけない」とはこういうことか、と身をもって感じたし、

クライマックスの「私」の「九十九年」の歌唱に

 

「ふぁーーーーーーー!!!!!まじかーーーーーー!!!」

 

 

と心の中で叫びました。どきどきどきどき。

 

田代さんの「私」は、強火ワンコ系で、ちょっと「女性的」「ストーカー気質」が見える「私」でした。

 

今回は3パターンのキャストで上演されていて、別ペアで成河さんが演じられているのですが、成河さんといえば、私は「エリザベート」のルキーニとか、「髑髏城の七人」の天魔王とか、ちょっと悪いかつクレイジーなお役のイメージが強く、「私」より「彼」のイメージなんです。

 

今回はそちらのペアのチケットには恵まれなかったので、いつか、観てみたいなと思います。

演者さんによっても、空気感が大きく変わるであろう演目。

思わずCD購入してしまったので、また再演を楽しみに、おさらいしようと思います。